武信院長のぼちぼち更新ブログ

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ワクチンについて

 動物は常に細菌やウイルスの感染に脅かされています。細菌は抗生物質などで殺すことができますが、ある種のウイルス感染には現在のところ有効な治療薬はなく、ワクチンを接種する以外に有効な対策はありません。

1 ワクチンが感染を予防できるわけ

1−1.免疫

 動物は細菌やウイルス、毒素など、常に外敵の侵入の危険にさらされています。これらの異物(抗原といいます)が入ると、動物の身体は免疫システムによってこれを排除しようとします。動物がもともと持つ免疫を「自然免疫」といい、後天的に得られる免疫を「獲得免疫」といいます。一般に細菌による感染には「液性免疫」が、ウイルスに対しては「細胞性免疫」が働きます。

1−2.記憶

 免疫機構には記憶というメカニズムがあります。つまり、1度目の感染によって抗原が記憶されていると、2度目の感染の場合より早く対応しようとする性格があります。これにはメモリー細胞と呼ばれる細胞が関与し、2度目以降の細菌やウイルスが侵入した場合、はじめの幾段階かの免疫反応をスキップしてより早くそして強く対処できるのです。このような免疫は「獲得免疫系」といわれ、ワクチンはこの獲得免疫という機構を利用した感染防護の方法です。

1−3.ワクチンで予防できる犬の感染症

【狂犬病】
 世界中に分布する人畜共通感染症で一度発病すると100%死亡する恐ろしい病気です。幸い日本では1957年以降発生していませんが、狂犬病ウイルスが野生動物を宿主としているために海外ではいまなお発生が続いており、万全の防疫対策が必要との判断から日本では予防接種が法律で義務づけられています。感染した犬や動物に咬まれると、狂犬病ウイルスは末梢の神経を伝わって中枢神経へと広がっていきます。この速度が遅い場合は潜伏期が長く、感染を疑われた後に免疫注射をしても発病阻止が期待できますが、対応が間に合わず発病すると治療法はありません。

【ジステンパー】
 犬の代表的な伝染病で、下痢、嘔吐などの消化器症状と、咳、鼻汁、くしゃみなどの呼吸器症状があります。1カ月以上を経過すると痙攣などの神経症状をおこします。伝染性が強く、経口感染でうつります。細菌感染を併発していることが多く、症状を悪化させる原因となっています

【パルボウイルス感染症】

 1980年頃から急速に広がった感染症で、心筋炎型、腸炎型があり別名「コロリ病」ともいわれる死亡率の高い恐ろしい病気です。ひどい下痢と嘔吐、白血球減少を示し短期間で死亡します。このウイルスは、生存力が非常に強く、ちりやほこりにまじって6〜7ヵ月も生存します。ふつうの消毒や殺菌剤では死滅させることはできません。感染犬の糞便または糞便に汚染された食器などから感染します。感染力は非常に強力です。

【伝染性肝炎】
 アデノウイルス1型による感染症。肝炎が急速に進行し子犬が感染すると数日で死亡してしまいます。成犬では発熱、下痢、嘔吐をみます。回復期にはブルーアイといわれる角膜の白濁がみられることがあります。

【伝染性咽頭気管炎】
 アデノウイルス2型による感染症。咳を主徴とする呼吸器症状。死亡率はそれほど高くありませんが、伝染力が非常に高く細菌などの混合感染により肺炎に移行する可能性もあります。

【コロナウイルス感染症】
 下痢、嘔吐などの消化器症状を呈する感染症です。伝染力が強く、単独感染では症状は軽いのですが、パルボウイルス感染症との併発により重篤な症状に陥ります。

【パラインフルエンザ】
 呼吸器症状を呈する疾患で、ウイルスと細菌とによる混合感染が多く見られます。アデノウイルス2型感染症などとともにケンネルコーフといわれています。

【レプトスピラ感染症】
 レプトスピラという細菌が原因で起こる人畜共通感染症で(ウイルスではありません)、腎炎をおこすタイプと出血性の黄疸を示すタイプとがあります。感染動物の尿を介して伝染します。

2 ワクチン接種

2−1.ワクチンの種類
 ワクチンには、上記の感染症に対するワクチンを組み合わせた2種〜9種混合ワクチンがあります。どのワクチンを接種するかは、費用の点を除けば出来るだけ多い方が安心と言うことになりますが、すんでいる地域や生活スタイルによって、接種するワクチンを選ぶのが良いでしょう
 一般に6種ワクチンとは、【ジステンパー、犬伝染性肝炎、アデノウイルス2型、パラインフルエンザ、パルボ、コロナ】という6種類の病気を予防するワクチンです。
 8〜9種ワクチンは、それにレプトスピラ感染症の2〜3種類の株を加えたものです。
 当院でのワクチンプログラムは、混合ワクチンを生後50日で1回接種したあと、30日間隔で2回目、3回目を行います。
その後は半年後にパルボまたはレプトスピラのワクチンを接種します。一才を超えると年一回は混合ワクチンが必用です。感染の多い地域ではパルボまたはレプトスピラワクチンの半年毎の接種が必用です
2−2.接種のタイミング
 生まれたばかりの動物の免疫機能は未発達で十分機能していませんが、母親の母乳や胎盤から移行した抗体で様々な感染から守られています。この時期にワクチンを接種してもこの抗体によってワクチンは排除(中和)され、免疫を獲得することが出来ません。しかし免疫が未発達で体力も十分でないこの時期に万一ウイルスに感染すると大変です。すなわち、ワクチン接種は母親からの移行抗体が切れた直後の時期に行うのが理想ですが、そのタイミングはまちまちで一定ではありません。そこで、生まれてから6-8週目に1回目の接種を、その後1カ月おきに数回接種するという方法が行われています。ワクチンの種類によって、その後毎年1〜2回の追加接種が必要です。

【ドッグギャラリーのワクチンプログラム】

@パルボウイルス検査を行った後、6種混合ワクチンを生後50〜60日(一回目)と8種混合ワクチンを生後80〜90日(二回目)に無料接種しています。
*たいていの子は2回の接種でお散歩が出来るようになりますが、さらに30日後に三回目の接種をお勧めします。

A二回目もしくは三回目のワクチンの半年後にパルボまたはレプトスピラワクチンの追加接種を行ないます。
*生後120日〜270日のこの時期には、血中の抗体価を測定してワクチンの効果を確かめます。
  DGの仔犬であれば検査料は無料です。

B一才を過ぎると年二回(混合ワクチンと単味ワクチンを半年毎)の接種です。
  *半年毎のパルボまたはレプトスピラワクチンの追加接種について
パルボウイルスは伝染性、死亡率ともに高い病気のため、流行が予測される地域では十分な免疫が必要です。
また、浜松市近郊の山間部や川沿いではレプトスピラ感染症が報告されています。これらは年一回の混合ワクチンにも含まれていますが、抗体価の個体差や半減期を考え、半年毎の追加接種をお勧めする場合もあります。

C注意:接種後一週間はシャンプーは控えましょう。(シャンプーした後なら接種する事が出来ます。)



 

3 接種時の注意点

3−1.接種前に注意することは?

 接種を受ける前の禁止事項はとくにありません。ただし健康であることが予防接種を受ける基本です。接種当日は、身体一般検査をし、体温測定、検便などをして、異常があれば取りやめます。追加接種の場合は以前にアナフィラキシー反応(過敏症)があったかどうかをカルテあるいは問診により確認します。

3−2.副作用は?

 現在市場に出ているワクチンは、厳重な品質管理のもとで作られており、有効性とともに安全性にも十分な配慮がはらわれています。しかし、動物の状態が悪い場合には抵抗力を弱めてしまうため、併発症がみられることがあります。また、ワクチンには製造時の培養液の成分や、免疫力を高めるためにアジュバンドというものが添加されているため、ごくまれにアレルギー反応を起こしてしまう体質の犬や猫がいます。
 *即時型アレルギー:全身性のアナフィラキシーショックは注射後数分以内に現れます。このような場合は、急激な血圧低下や痙攣、嘔吐がみられ(ショック症状)、一刻も早い応急処置が必要とされます。
 *遅延型アレルギー:アナフィラキシー以外の症状は数時間後〜24時間以内に起こります。犬によくある症状は顔の腫れや痒みなどです。注射をした局所に現れるものとしては、注射部位の痛み、腫れ、発熱などがあります。
 接種の後は急性〜遅延型アレルギーの有無を観察しましょう。もしアナフィラキシー反応が出た場合は抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモンなどで治療します。

 以上のようにワクチンの副作用を説明してきましたが、最近のワクチンの安全性は極めて高く、局所的な過敏症で5%未満、重篤で命に関わるような全身性ショックはきわめてまれにしか起こりません(数千から1万例に1件)。これに比べると感染症に罹る可能性の方が非常に高く、恐ろしいものです。ワクチンの副作用に関する情報はその危険性を糾弾するためのものではありません。適切に予防接種をうける為の予備知識をもって、あなたのペットを感染症から守りましょう。

4 猫

* ネコウイルス性鼻気管炎

原因)
ネコヘルペスウイルス
症状)
40度前後の発熱と激しいくしゃみ、咳、多量の目やにが主症状。
強い伝染力を持ち、他の細菌やウイルスと混合感染することにより重い症状となり死亡する事があります。特に子猫の時にかかりやすく、高い死亡率を示します

* ネコカリシウイルス感染症

原因)
ネコカリシウイルス
 症状)
ネコウイルス性鼻気管炎と類似のカゼ様の症状。進行すると口腔内、舌に水泡や潰瘍を形成します。症状的には鼻気管炎より軽いが、混合感染すると重篤な症状を示します。

* ネコ汎白血減少症

原因)
ネコパルボウイルス
症状)
別名ネコ伝染性腸炎といわれ、高熱、嘔吐、下痢が主症状。血液中の白血球が、著しく少なくなり、脱水症状が続くとネコは衰弱します。特に子猫では非常に死亡率の高い伝染病です。
* ネコ白血病ウイルス感染症
原因)
ネコ白血病ウイルス
症状)
 このウィルスに感染すると白血病になったり、免疫を作るリンパ球が侵され、免疫不全に陥ったりします。発病すると3年以内に80%が死亡するといわれている恐ろしい病気です。
感染猫の唾液中にウィルスが多く含まれているために、体を舐めあったり、同じ食器で食事をしたりすることや咬傷により感染します。また、胎盤感染するため母猫から仔猫へ感染することもあります。ウィルスを持っていても発病しないキャリアーといわれる猫がいますので、知らないうちに感染してしまう可能性があります。
感染の初期は、発熱、下痢、リンパ節の腫れなどがみられますが、一時的ですぐに良くなります。その後、数ヶ月以上経過して食欲不振、元気喪失、体重減少、口内炎、貧血などの症状が現れます。また白血球やリンパ腫など血液リンパ系の腫瘍や免疫力低下をひきおこし、3年以内に80%は死亡するといわれています。感染しても発病せずに免疫になることもありますが、そのままウィルスを持ち続けるキャリアーという状態になる場合もあります。キャリアーの猫は、他の猫への感染源になりますし、発病することもあります。
大事なのは、感染してしまったら根本的な治療法がないと言う事です。
普通ネコのワクチンには3種混合ワクチン(猫ウイルス性鼻気管支炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症)、白血病ワクチン、4種混合ワクチン(3種混合+白血病ワクチン)があります。 白血病のワクチンは接種する前に感染の有無を調べてから接種します(市販されているキットを用いて行います)。
 
 当店では猫エイズ/猫白血病の血液検査を行ったうえで、7種混合ワクチンを50〜60日で接種、その1月後に2回目を接種。あとは1年後です。子猫も犬同様2回目まではワクチンと検査を無料で行っています。

「各料金等に関しては(料金表)をご覧ください。」