武信院長のぼちぼち更新ブログ

 

診療方針

当院の院長、武信行紀は2004年から、神奈川県の麻布大学で獣医腫瘍科レジデントとして過ごしています。その中で学んだ恩師・信田卓男先生の言葉「慈愛理知」の精神を胸に日々臨床の現場に臨んでいます。ドッグギャラリークリニックには4つの診療ポリシーがあります。

言葉を話せない動物たちの心を慈しむこと

 我々は言葉を話せない動物たちを飼い主さんのご家族の一員と考え、最高の医療を提供することで、動物たちの生命に輝きを与え、人と共に幸せに暮らしていけるよう努力します。

愛情を持って人と動物に接すること

  動物たちのちょっとした異変に気付き、病院に連れてきてあげられるのはご家族である飼い主さんです。どんなに些細なことでも構いませんので、少しでも気になることがあったら、私たちにいつでも相談してください。診療に際しては必ず納得いくまでご説明いたします。

最新の理論を持って治療に当たる。

 EBM (Evidence Based Medicine)とは「科学的根拠に基づいた医療」、つまり「有効である」と科学的に証明された診断法・治療法にもとづいた医療を意味しています。私たちは日々進歩する獣医学をつねに学び、取り入れ続けることで、つねに最新の獣医療を提供します。

知識に心を入れて知恵となす。

 検査や治療には正解はひとつとは限りません。私たちはさまざまな飼い主さんの事情や意向に沿えるよう、できる限りの検査や治療プランを提示し、「なぜそれが必要なのか?」についてもご説明します。飼い主さんに充分に納得をしていただいた上で患者さんの診療を進めていきます。

 

腫瘍科(がんの診断と治療について)

がんに罹る犬と猫はこの数年間で急速に増加しています。
現在、「犬の死亡原因の25%はがん」で、さらに「10歳以上の犬では50%を占める」といわれます。
動物の飼育環境が向上し、人と同じ生活をするようになり、同じ病気に罹るようになったのです。
それに伴い、われわれ獣医師も最新の医療知識と技術が要求されるようになっています。

当院での治療は、きちんとした診断をつけることから始まります。
がんの診断をつけるには、血球検査、生化学検査、胸部・腹部レントゲンや超音波検査等による全身状態の評価と病理組織検査が必要です。これらの検査は治療のプランには必要不可欠なものとなります。これらのデータを元に、「TNM分類、ステージ分類」をし、いくつかの治療プランを立てます。
その後、ご家族と作戦会議を行ってその子に最善となる治療を決めていきます。

■がん治療の三つの目的
1.根治治療 外科切除や化学療法などによって根治を目指す治療
2.緩和治療 根治の確率は低くても、より良い生活の質「Quality of Life」をもって生存期間を延ばす治療。
3.対症治療 将来やってくる痛みや苦しみを考え、現在の「Quality of Life」を維持することを目指す治療。

その子にとって最善の治療とは、持っている病気の病期(ステージ)によって異なります。
例えば、複数の肺転移があって状態の悪い動物に大きな手術を行うようなことは致しません。
抗がん剤を使う場合も動物の状態とご家族の意思を尊重しながら、副作用の出ない量から始めていきます。

積極的ながん治療を行うか否かの判断は、ご家族が決めることになりますから、
一番大切なのは病気に向かう家族の気持ちだと考えています。
私どものほうから高額な治療を押し付けたり、逆に治療をあきらめてしまう事はありません。
納得できないことがあれば何でも質問してください。

がん治療にはたった一つの正解はありません。
その子にとって最善の治療はいつも違います。
私は常々、ご家族が動物の生と死に立会い、しっかり受け止めてあげる事がもっとも大切と考えていますので、動物にとって何ができるのかを一緒に話し合い、考えながら治療を進めます。
動物の治癒力をご家族と獣医師、みんなの力で支えてあげるのが治療だと考えています。

なお、がんの診断と治療には時間がかかりますので、できれば事前にご連絡をください。必要に応じて予約診療とさせていただくことがあります。また、ご家族の意見をきちんとお聞きしたいため、みなさんで来院することをお勧めします。

 

減感作療法(アレルギー疾患の診断・治療)

アレルギーとは、体が環境中の物質に過敏反応を起こすことをいいます。
減感作療法はアレルギーの自然治癒を促す唯一の治療法です。
アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少しずつ、量を増やしながら注射することによって、そのアレルゲンに対して体を慣れさせて、アレルギーを発症させないようにします。

減感作療法は、アトピー性皮膚炎の犬の50〜80%で効果があると報告されています。
さらに、効果があったうちの75%ではステロイドを使用せずにアトピーを抑制することが可能でした。
ただし、15〜20%では減感作療法の効果が得られないこともあるようです、、、。

当院では減感作療法を初めてまだ3年ですが、アトピー性皮膚炎の犬の50〜60%は減感作療法と食餌療法のみで、そのほかの20%では非ステロイド療法の併用で、20%〜30%は少量のステロイド療法で維持することが可能になりました。
減感作療法の動物への応用にはまだ分かっていない事もたくさんあります。

当院では治療経過を皮膚科専門医と相談しながらこの療法を行っており、今後もこの治療法の効果を検証して行きたいと思います。

この治療法について詳しく知りたい方は、スペクトラムラボジャパンをご覧ください。

この治療法を選択される場合は次のことに注意しましょう。
●この治療は一次的にかゆみを止める対症療法と違い、アトピーの原因をなおすために行います。
●この治療では反応が得られるまでに6〜12ヵ月を必要とする場合がありますので、効果の判定に時間がかかります。
●減感作療法で良好な反応が得られるのは2〜6歳といわれています。長年にわたり発症している動物では、微弱な反応しか得られない場合もあります。

当院では、このほかにもアトピーの治療オプションを用意して飼主さんに説明しています。
お気軽にお問い合わせください。