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犬の難産について
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犬の健康管理 vol.2 〜犬の難産について〜
犬の健康管理 vol.2 〜犬の難産について〜
@犬は難産??
古くから、犬は安産の象徴とされてきました。現在でも安産祈願の帯祝い(妊娠5か月目の儀式)は戌の日に行ないますので、出産経験のある女性は良くご存知で「犬が難産?」と驚かれます。確かに人に比べると、犬や猫は難産がはるかに少ない動物ですし、
特に古代から人と密接な関係を築いていた犬達のお産と子育ての光景は、人間にとってとても身近だったのでしょう。次第に犬の安産にあやかる風習が出来たと思われます。
しかし、犬にも難産は起こります。特に近年、爆発的に頭数の増えた超小型犬や、大きな頭とガッチリした肩を持つ短頭種は難産犬種として知られており、帝王切開の多くは、これらの犬種が占めています。
A難産とは??
難産《異常分娩》とは、正常な分娩プロセスが波綻をきたしたことをいいます。難産の原因には、微弱な陣痛などを含め数多くのものがありますが、大きく母体側の問題と胎子側の問題の2つに分けられます。
1.母犬の問題
母犬側の問題点はたくさん挙げられますが、その多くは子宮に関連して見られます。
中でも、子宮破裂や捻転は、非常に重篤な問題で、すぐに開腹手術を行わなければなりません。
もう1つ重要な問題点として、産道の問題があります。骨盤腔がせまい事によって胎仔が娩出できない場合は帝王切開が適応になります。
母犬の栄養学的な問題は、良質なドッグフードの普及により、あまり見られなくなっていますが、分娩の前後にはバランスのとれた食事が必要です。
オーナーの方も犬のお産を大変気掛かりにされていらっしゃいますが、オーナーの精神状態や間違った対処が難産の原因になることも有りますので、初産の場合は適切なアドバイスが必要です。
2.胎子側の問題として最も多いものが、サイズの問題でしょう。
単純なことですが母親のお腹のスペースは限られていますので、胎子数が多くなると胎子のサイズは小さくなる傾向があります。スンゴく大きなお腹をしていても、次から次にポンポン分娩できて、意外と安産だった!!なンてことも有りますし、小さいお腹でも安心は出来ません。例えばチワワ(標準体型)の赤ちゃんは体長13〜15cm、体重90〜110gで生まれます。出産予定日前にレントゲン撮影をして、胎仔の頭数や大きさ、胎位(胎仔の頭の向き)などを確認しておきましょう。
3.妊娠期間の後半3分の1の時期に胎子が死亡してしまうと、お腹の中で吸収されずにミイラ化することが有りますが、このようなことも難産につながってくるものです。異常分娩かな?と思ったら、胎子の状況を見るためにエコー検査を行いましょう。胎子の心拍数が200以上あるならば、子供の状況は良いと考えます。心拍数が140以下の場合、低酸素症が起こっています。何らかの処置を急いで行わなければなりません。
B難産の徴候
明らかな難産の徴候が見られる時には、まず膣腔内の触診を行います。胎仔が産道に挟まっていないか確認した後、産道内に指を挿入して、膣壁の上側を優しく圧力を加えながら手前に掻く操作をします。これで腟の収縮が起きてこない場合は陣痛が弱い可能性が有ります。
当院では、飼主さんをナビゲートする際のキーワードとして、
「緑色のおりもの!」
「腟から水風船!?」
「陰部から出血!」
などの状況が見られる場合は、帝王切開の準備をするようにしています。
C冷静に、すみやかに。
臨床的に重要なことは、難産の原因が何であれ、すみやかな決断をすること。必要であれば帝王切開手術を行って問題を解決してあげることです。いたずらに時間を費やして、胎仔を弱めてしまうことは、絶対に避けなければならないことなのです。
その代わり、早期の帝王切開は子犬の発育に悪影響を及ぼすことを常に頭においておきましょう。
また、難産の問題を起こしてきた母犬は、再び繁殖に使用する時には獣医師と相談した方がいいでしょう。過去に難産を起こした母犬は、再び難産を起こす可能性が高いため、獣医師との連携が必要になります。 |