犬の健康管理 vol.5 心音の聴診
今回は心臓病のお話、、のつもりで聴診について調べ始めたら、いろいろ面白いものが出てきたので併せてご紹介します。
聴診器の歴史
私たち獣医師にとってもっとも身近な道具である聴診器は1816年にフランスの医師ラエネック(Laennec)が発明し、stethoscope
(胸部を探る器具の意味)と名づけました。この発明以前は医師が患者の胸部に直接耳をあてて聴診をしていたそうです。はじめの聴診器は筒状のもの(写真)でしたが、その後性能を向上させるためにさまざまな改良がなされ、19世紀半ばには、今日の聴診器の形となりました。
初期の聴診器:聴診器の広場より
現在主流になっている聴診器は両耳型でベル型とダイアフラム(膜)型のチェストピースを持つものが多いようです。ベル型は高音〜低音の両方を拾いますが、ダイアフラム型は高音を主に拾います。心音の多くは高周波帯域に属する音なので、私は普段からダイアフラム型を多く使用しています。
現代の聴診器:リットマン聴診器より
ここで心雑音とは?
正常な心臓の血流には通常、雑音はありません。何らかの異常によって乱流が起きるとそれが振動となって胸壁に伝わり、雑音となります。例えば血管がつまり気味だったり、弁が半開きだったりする場合です。心雑音のタイミングや強さによって心臓や周囲の血管の異常を診断することが出来ます。皆さんもおうちに聴診器があれば、身近なワンちゃんの心音を聞いてみましょう。良く聞くといろんな音がありますよ。
また心雑音の強さは6段階で評価されます(レバインの6段階評価)が、強い雑音(4/6以上)になると、胸壁を手で触るだけで「スリル」と呼ばれる振動が伝わってきます。年をとったワンちゃんのシャンプーをする時などには左側の胸壁を触って見ましょう。「ズーッ、ズーッ」という感じがしたら、僧帽弁閉鎖不全症などの心臓の病気が疑われます。これからの季節に向けて、心疾患を持っている老犬は肺水腫、熱中症などのリスクも高くなるため、よく気をつけてチェックしてみると良いでしょう。
インターネットで発見。世界聴診器とは?!
聴診器について調べていたら「世界聴診器」という言葉が出てきました。「なんじゃそりゃ」と見てみると、「世界聴診器とは、私たちの身の回りにあるさまざまな現象を音として聞くための道具です。たとえば、明るいところでは高い音、暗いところでは低い音が鳴ります。センサ
を交換することで温度や電圧の変化を聞くことも…。」すごくでかい聴診器かと思ったらパソコン君のための聴診器でした↓。
世界聴診器をめぐる冒険より
もう一つ見つけたのはアリンコの聴診器!!
これはすごい!さすが日本、アリンコサイズの聴診器作っちまった?と思ったらこちらはアリンコの足音を聞くための聴診器??(科学のタマゴ付録)でした。これはチョット欲しくなりましたが、うちは女の子ばかりで家族じゅう虫が嫌いなので却下。
でもホームページでアリンコの足音は聞けました。「ガサガサ、ゴソゴソ…。」
科学のタマゴ12号より
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