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犬の健康管理 vol.3 夏に増える皮膚疾患

動物たちにとって夏は膿皮症やアレルギー性皮膚炎など、皮膚病が多くなる季節です。

特に下毛の多い犬種や長毛種などは暑くなる前に下毛や毛玉の処理をしないでいると、毛玉の下に皮膚炎を起こしてジュクジュクしたり、ひどいとウジが湧くこともあります。

夏の皮膚病の原因は高温・多湿による蒸れや、外部寄生虫の増加などさまざまですが、

特にアレルギー性皮膚炎は、皮膚の汚れやアレルゲン(食事・ノミ・ダニ・カビ・ホコリ)、気候、ストレスなど、いくつかの要因が重なって発症するといわれています。

 

夏に皮膚疾患が増える理由

            温度・湿度が高いために細菌、カビなどが繁殖しやすい

            皮膚、被毛が蒸れやすく、汚れや皮脂がたまりやすい

            ノミやダニなど外部寄生虫が繁殖する

 

皮膚疾患(とくにアレルギー性皮膚炎)の対策

皮膚疾患の対策には原因を除去すること、炎症を和らげること、体質を改善することが必要です。対策や治療はひとつではなく、下の4つが主になります。

 

@原因の除去、接触の軽減  

アレルギーの原因物質(アレルゲン)を排除する、あるいは接触を回避することが必要です。まめにシャンプーすることも良いでしょう。

・花粉などのアレルギーは、季節によって散歩を減らすと、アレルゲンとの接触を回避することになります。

・ホコリ(ハウスダストマイト)のアレルギーには、専用のマットレスや枕カバー、ダニ駆除剤の使用を考えます。

・草による症状は、草との接触を避けます。特に外出後に保湿シャンプーで頻繁に入浴させるのが良いでしょう。

・犬の皮膚病では、除去食(アレルギー物質を取り除いた食事)によって症状が改善することがあります。

      ノミアレルギー性皮膚炎を防ぐためには、ノミ予防薬をつかいます。

 

A抗炎症 薬物療法  

原因の除去ができず、臨床症状が改善しない場合は、抗炎症剤を使用します。

抗アレルギー剤は様々な薬剤が使用されています。

とくにプレドニゾロンはアレルギー性皮膚炎などに有効性が示されている薬物ですが、問題は安全性です。いかに副作用を最小限にして、症状を抑制するかが重要です。このためには、常に毛包虫などを含む感染症をチェックし、血液検査を定期的に行うこと。もう一つは、他の治療法を併用してプレドニゾロンの投与回数、用量を下げることが重要です。

 

B体質改善、減感作療法  

原因の排除が難しい場合、どうしても薬物療法に頼りがちですが、薬には副作用もあります。体質を改善し、免疫反応を調整することができれば理想的です。

また、適切な食事指導やサプリメント療法による効果も期待できます。

究極の体質改善として、たとえば減感作療法と呼ばれるアレルゲン免疫療法があります。この治療法はまだ広く行われていません。時間、費用、手間などがかかる面があり、すべての皮膚病に効くわけではありませんが、アトピー性皮膚炎の根治療法として期待されています。

 

C抗菌物質療法 多くの皮膚疾患の犬では皮膚ブドウ球菌やマラセチアなどの皮膚感染症が認められます。抗菌物質療法は、犬の皮膚病管理においてもっとも重要で、適切な時期に抗生物質を使用すれば、皮膚症状を最小限に抑えることができます。

 

皮膚病は原因が絞れないことも多く、複雑な疾患です。このため治療も上の@〜Cを組み合わせて根気よく行う必要があります。一番大切なことはまめに手入れをして、皮膚と被毛を清潔に保つことです。この夏も皆さんの愛犬が健康に過ごせるように真心のこもったケアをしてあげましょう。